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字幕の機械翻訳の品質改善を目指す
大阪大学とピクセラが共同研究を開始
―人文・社会科学分野の産学連携が新たに始動―

2016年11月14日

国立大学法人大阪大学(所在地:大阪府吹田市/総長:西尾 章治郎 以下、大阪大学)は、株式会社ピクセラ(本社:大阪市浪速区/代表取締役社長:藤岡 浩 以下、ピクセラ)と、平成28年10月1日より、字幕の機械翻訳に関する共同研究を開始しました。

本共同研究では、放送電波から映像と同時に送信されている難聴者のための日本語字幕データを、チューナーからインターネット上の翻訳サーバーに取り出し、サーバー上で自然な外国語(英語、中国語、朝鮮語)に翻訳した結果をチューナーに戻し、映像とともにリアルタイムで表示するというシステムを構築します。これにより、これまで間違った主語が補充されたり、単語や文節の切れ目が正しく理解されずに誤訳となっていたケースを解消し、字幕の翻訳品質の飛躍的な向上を目指します。

大阪大学は、字幕付き映像コンテンツ中の字幕データを機械翻訳する際に、外国語文化を踏まえた自然な翻訳を可能にするための具体的な方策の検討及びそれに伴う翻訳結果の評価方法の確立を担い、ピクセラは、地デジで培った技術をもとに番組ジャンル情報を使った機械翻訳に関する技術でより精度の高い字幕翻訳システムを開発します。

テレビ字幕翻訳システム イメージ図

共同研究の内容

研究テーマ 字幕の機械翻訳における翻訳品質改善の研究
期間 平成28年10月1日から平成30年9月30日まで
目的 ニュースを中心とした日本語字幕付き映像コンテンツ中の字幕データを機械翻訳する際の翻訳結果の評価方法を確立し、機械翻訳の前処理により翻訳字幕品質の向上を目指す。
また、機械翻訳において外国語文化を踏まえた自然な翻訳を可能にする研究を行う。

共同研究が目標とする翻訳結果

背景と目的

訪日観光客いわゆるインバウンドは増加の一途をたどっており、関西は特に増加が大きい状況です。インバウンドは今後ますます我が国の経済成長へ好循環をもたらすとともに、地域経済の活性化にも大きな効果が期待されます。

訪日外国人はSNSなどのネット上から多くの情報収集をして訪問していますが、現地でのリアルタイムな情報については情報格差があります。とりわけ、あらゆる災害情報へのリアルタイムなアクセスが安全安心の国としての信頼性を勝ち取るためには必須であり、訪日外国人に英語のみならず、訪日外国人の大半を占める中国、台湾、韓国からのインバウンドに対する言語面での対応が求められています。リアルタイムな情報提供手段を提供し、災害情報以外にも日本国内での文化活動へのバリアフリーな参加手段を確保していくことは、今後のインバウンドをリピータも含めて拡大していくことにつながります。

大阪大学と大阪外国語大学は統合して25の言語文化の研究拠点となり、多数の日本人、外国人が協働した研究の場を形成しています。これがさらに産学連携を先駆けてきた総合大学の機能と掛け合わさることにより新たな学際分野や新たな社会を開拓していく強みを有しています。

一方、ピクセラは大阪に本社を置き、2011年に移行が完了した地上デジタル放送において安価で高性能な地デジチューナーを提供し、地上デジタル放送の各家庭への普及を後押しし総務大臣表彰も受けている会社です。地デジで培った技術を発展し続けており、今般、番組ジャンル情報を使った機械翻訳に関する技術(特許出願中)を開発し、テレビジョンの字幕翻訳システムを考案しました。

両者の強みを生かして字幕翻訳精度を向上させインバウンドに大きなインパクトを与えることを目標としています。

今後について

今後、本共同研究の進展に合わせ、ピクセラは2017年前半にもその成果を応用した製品化を検討しています。これにより、大阪大学とピクセラとの共同研究成果が逐次社会実装されていきます。最初は公共機関、観光案内所、旅館から設置が進んでいくと期待されます。また、この共同研究成果はテレビ字幕だけにとどまらず、断片的な言葉で構成される日常会話への別の形での発展も想定されます。

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